東京高等裁判所 昭和30年(う)2180号 判決
被告人 鎌谷喜文
〔抄 録〕
論旨第二点について。
原判決は被告人に対する罪となるべき事実として「被告人は鶴岡重武、吉田正弘、東久雄と共謀して、昭和二十九年十月十日頃より同年十五日頃までの間に六回に亘り(鶴岡重武、吉田正弘と三回、鶴岡重武と一回、鶴岡重武、東久雄と一回、東久雄と一回)前記立川市所在立川航空基地内野天物資置場において空軍々曹アール・イー・マツキレー管理に係る電線約一七五〇封度四十五万三千二百四十円相当を窃取し」と判示している。しかし六回に亘る窃盗の各個の内容については判示事実自体によつては全くその内容を知ることができない。只右六回の窃盗のうち五回については、原審相被告人鶴岡重武に対する原判示第一の(二)乃至(四)の事実によつてこれを推測し得るに過ぎず、東久雄と共謀して犯した窃盗については、全くその内容を推測することもできないのである。かくの如く原判決は判示事実自体によつて犯罪事実の内容を知ることができないから、判決に理由を附せざる違法があるものというべく、論旨は理由があり原判決中被告人に関する部分は破棄を免れない。